俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
彩華がゆっくりと目を開けると、目の前に葵羽の寝顔が飛び込んできたので、驚いて声を上げそうになってしまう。
ぐっすりと寝てしまったため、寝ぼけて自分の家のように目を覚ましてしまった。
葵羽の寝顔はとても綺麗で、彩華はまじまじと見つめてしまった。長い睫毛は髪の毛と同じ様に銀色でつやつやとしていた。綺麗な瞳はみえないけれど、肌は陶器のようにくすみがなく、女性である彩華が嫉妬してしまうぐらいに美しかった。すやすやと眠る彼はとても穏やかな表情で起こしてしまうのが申し訳なく思ってしまった。
部屋の時計を見ると、起きるのには少し早い時間だった。けれど、今日は仕事がある日だ。早めに準備していた方がいいと思い、彩華は彼を起こさないようにベットから降りようと体を動かした。
「ん…………彩華さん?どこに行くんですか?」
「あ、葵羽さん………起こしてしまいましたね」
しかし、少し体を動かしただけで葵羽は起きてしまい、彼の腕が彩華の体を抱き寄せ、彼の胸の中に戻されてしまう。
「おはようございます。早起きですね」
葵羽はそういうと、彩華の唇にキスを落としてくれる。彩華は少し照れながら「おはようございます」と挨拶を返した。
「まだ早いですよ。ゆっくりしていてください」
「今日も仕事なので早めに準備しておこうと思って………」
「そうですか。では、あと5分だけ。こうさせてください」
葵羽は後ろから彩華を抱きしめてくれる。
自分の肩に彼の頭が乗り、ふわりといい香りが漂ってくる。
「昨日話せなかった事なんですけど。クリスマスは空いてますか?」
「………昼間は仕事ですけれど、夜なら」
「では、クリスマスに会ってくれませんか?」
「はい。もちろんです」
彩華は彼の誘いにすぐに承諾の答えを出す。
恋人と過ごすクリスマスなど初めての事で、考えるだけでも夢のようだった。
どんな日になるのか。
そう期待しつつも、また彼は自分を見せてくれないのでは。そんな思いも過ってしまう。
「エスコートは任せてください」
「………はい。楽しみにしています」
そんな彼の優しい言葉に、素直に喜べなくなってしまい、彩華は彼の腕に隠れるようにしたうつ向いて返事をしたのだった。