俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
けれど、彼とのクリスマスデートを楽しみではないはずもない。
彼の秘密が気になりつつも、クリスマスに何か教えてくれるのかもしれない。そんな淡い期待もあった。
彩華はクリスマスまでは考えないようにしようと決め、その日は素直に楽しもうと思ったのだ。
ある休日。彼とは休みが合わなかったので、その日は葵羽へのクリスマスプレゼントを選びに街まで出てきていた。
彩華はどんなものが彼が喜んでくれるのかを考え、きっと葵羽は音楽が好きなのだろうと、音楽関係のものにしようと思ったのだ。
けれど、専門的なものはわからないので、どんな物がいいのか全く検討がつかずに街をフラフラと歩いていた。
そんな時に見つけた物に一目惚れしてしまい、それを購入した。綺麗にラッピングしてもらい、そのプレゼントを受けとると、彩華は自然と笑みがこぼれた。
「葵羽さん、喜んでくれるかな………」
紙袋の中のプレゼントを見つめながら、彩華はそんな風に呟いてしまう。
きっと葵羽は笑顔で受け取ってくれるはずだろう。それを想像するだけで、思わずニヤけてしまう。それを我慢しながら、クリスマス一色の街を軽い足取りで歩いていた。
夜になり寒くなってきたので、彩華は自宅へ帰ろうとした時だった。
とある店先から、見慣れた人が颯爽と出てきたのだ。背が高い、銀に近い茶色の髪の毛の彼、葵羽だった。彼が出てきたのは有名な大手楽器店だった。何か用事があったのだろう。大きな荷物を持って出てきた。
偶然にも彼に会えたことが嬉しく、彩華は彼に駆け寄った。
「葵羽さんっ!」
「あ…………彩華さん………」
彩華が彼の名前を呼ぶと、葵羽は驚いた顔を見せた後、少し気まずそうな表情を見せた。
あぁ、まただ………。
悲しくなってしまう気持ちを必死に隠しながら、彩華は笑顔のまま彼に話しかけた。