俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
祈夜の問い掛けに、彩華は素直な気持ちを口にした。葵羽の事を考えるだけで自然と笑顔になれるし、会いたいと願ってしまう。
今は少しぎくしゃくとしたかんけいになってしまっているけれど、それでも彼と仲直りをしてまた、抱きしめて欲しいと願っている。
そして、葵羽も同じ気持ちでいて欲しいと、思っていた。
「まぁ、食べて元気になれよ」
「うん。ありがとう」
少し冷えてしまったハンバーグはそれでも美味しくて、彩華は笑みがこぼれた。
祈夜ともこうやって普通に話せた事が嬉しかったし、これからは友達として仲良くなれればいいな、と思った。
「ねぇ、祈夜くんは………」
そう彼に話しを掛けようとした時だった。
店の扉が強く押されたのか、勢いよく開いた。それに驚いて、スタッフも客、そして彩華と祈夜もその入り口のドアの方を向いた。
「彩華さん……」
「………葵羽さんっ!」
そこに居たのは、彩華の恋人である葵羽だった。
その顔は、無表情で冷たい目。
葵羽の整った顔が怒りの表情を見せていると、とても迫力があり背筋がぞくりとしてしまう。
彩華は、彼の事を見つめてその場から動けなくなってしまった。