俺様紳士と甘えた彼とのハッピーエンドの選び方
「浮気なんてするはずないです!私は、葵羽さんが好きなのにどうして信じてくれないんですか?………信じてくれないから………私が沢山たくさん悩んでるの、葵羽さんは全くわかってないですっ!」
「彩華さん………?」
急に大きな声を出して怒り始めた葵羽は少し驚いた様子だったけれど、すぐに先ほどの冷静に怒っている表情に戻った。
「自分の事を好きだと伝えた男の元に行って、信じてくれなんて、それは都合がいいんじゃないかな?」
「葵羽さんは私を信じられませんか?…………では、葵羽さんの神主さん以外の仕事を教えてくれないのは何故ですか?どうして、葵羽さんのお家に連れてってくれないのですか?」
「…………それは…………」
「私をあなたのものにしてくれないのは何でですか?」
「………」
彼にずっと疑問に思っていた事を伝えながら、彩華は涙を次々に流していた。
けれど、そんな彩華を前にしても、彼は何も言ってはくれなかった。
ただ、気まずそうに顔を背けるばかりで、彩華の涙にも触れることはなく、ただ黙っていた。
「もういいです………」
彩華は手で涙を乱暴に拭き、持っていたバックからある物を取り出した。
葵羽が喜んでくれるだろう。そう思って考えて悩んで見つけたもの。それを見るだけで、その日を楽しみにしていた。
けれど、きっとクリスマスのデートは今のままでは楽しめるはずもない。
綺麗にラッピングされた、クリスマスプレゼント。
彩華は何故かそれを手元に置いておきたくていつも鞄の中に大事に入れていた。
それぐらいに葵羽とのクリスマスを楽しみにしていた。そして、その日にならば本当の彼を知れると密かに期待していた。
自分勝手な願いだったかもしれない。
けれど、恋人としてそう願ってしまうのは仕方がない事ではないか。
そんな彩華にとって楽しみにしていたクリスマスもきっと彼はいつもと同じように優しく微笑みながらも、本当の事は教えてくれない。
それがわかってしまった。
彩華は、小さなプレゼントの袋を葵羽に押してた。葵羽は戸惑いながらもそれを受け取り、そして「これは………」と小さな声で包装されたものが入る袋を見つめた。
「今の葵羽さんは………私に見せてくれる姿は葵羽さんなんですかっっ?」