綴る本
ハーメリンス国の王城の敷地内の横に建てられている白を基調とした外壁の軍施設の訓練所で、四人の男女が目の前の戦いに意識を向けていた。
真紅の髪を靡せ、少女は今まさに顔を斬り付けられようとしているのを横に躱し、軽やかに後ろに下がる。斬り掛かった浅黒い男性は深追いせずに構え直した。
それを眺めていた一人の黒の短髪男性が唸りながら言った。
「ふむ、悪くないんだがいまひとつだな」
随分と失礼な発言をする男性に、隣に立っている濃い短め茶髪の青年が諭す風でもなく、同意するように頷いた。
「ヘンズ大隊長、志願者に期待する方がそもそも間違ってるぜ。殆どが即戦力とは程遠い上に、俺達の国は兵士の数が少ないんだ。居てくれるだけでマシ。それにだいたいな、あれでもマシな方だろ」「確かに、弱くても居るだけマシなようだな。期待するだけ無駄ということか、アクール中隊長」
黒い短髪の男性――ヘンズ=ラグーンは茶髪の青年、アクール=ヒューメルの言葉に不満げに頷いた。どっちも今戦っている兵士志願者に対して失礼極まりない。
そんな二人を呆れたような顔で見ていた水色の髪を頭の上で括っている女性が肩を竦めた。
「あんたたちねえ、勝ち負け関係無しの実力見るだけなんだからさ、何もそこまで言う必要はないんじゃないの。兵士志願者は全員実力確かめた後にこの国の兵士になるのに、入っても役立たずなんてみたいなこと言うと兵士志願者来なくなるわよ」
「そんなことより何でおまえらここにいるんだよ、ユマリス、フミール。魔法部隊のおまえらが今魔法の使えない戦ってる志願者と何も関係ないだろうが」
アクールが眉を寄せ、二人に苛立ちを抑えずに言った。ブラウンの瞳からは敵意が宿っている。
水色の髪の女性――ユマリス=ターコイズは隣に立っている桜色の髪の少女、フミール=マフィンに意味ありげな視線を送った。
それを受け取ったフミールは威圧的な瞳をアクールに向けた。
「アクール、あなたは私にどうのこうの言える立場じゃないわ。私は師団長、あなたは中隊長。この意味わかるかしら?」
アクールよりフミールの方が階級が上である。それをわかっていながらもアクールは挑戦的な言葉を言ったのだ。このハーメリンスではなく、規律が厳しい軍の所ならばアクールは直ぐに階級が降格するだろう。
真紅の髪を靡せ、少女は今まさに顔を斬り付けられようとしているのを横に躱し、軽やかに後ろに下がる。斬り掛かった浅黒い男性は深追いせずに構え直した。
それを眺めていた一人の黒の短髪男性が唸りながら言った。
「ふむ、悪くないんだがいまひとつだな」
随分と失礼な発言をする男性に、隣に立っている濃い短め茶髪の青年が諭す風でもなく、同意するように頷いた。
「ヘンズ大隊長、志願者に期待する方がそもそも間違ってるぜ。殆どが即戦力とは程遠い上に、俺達の国は兵士の数が少ないんだ。居てくれるだけでマシ。それにだいたいな、あれでもマシな方だろ」「確かに、弱くても居るだけマシなようだな。期待するだけ無駄ということか、アクール中隊長」
黒い短髪の男性――ヘンズ=ラグーンは茶髪の青年、アクール=ヒューメルの言葉に不満げに頷いた。どっちも今戦っている兵士志願者に対して失礼極まりない。
そんな二人を呆れたような顔で見ていた水色の髪を頭の上で括っている女性が肩を竦めた。
「あんたたちねえ、勝ち負け関係無しの実力見るだけなんだからさ、何もそこまで言う必要はないんじゃないの。兵士志願者は全員実力確かめた後にこの国の兵士になるのに、入っても役立たずなんてみたいなこと言うと兵士志願者来なくなるわよ」
「そんなことより何でおまえらここにいるんだよ、ユマリス、フミール。魔法部隊のおまえらが今魔法の使えない戦ってる志願者と何も関係ないだろうが」
アクールが眉を寄せ、二人に苛立ちを抑えずに言った。ブラウンの瞳からは敵意が宿っている。
水色の髪の女性――ユマリス=ターコイズは隣に立っている桜色の髪の少女、フミール=マフィンに意味ありげな視線を送った。
それを受け取ったフミールは威圧的な瞳をアクールに向けた。
「アクール、あなたは私にどうのこうの言える立場じゃないわ。私は師団長、あなたは中隊長。この意味わかるかしら?」
アクールよりフミールの方が階級が上である。それをわかっていながらもアクールは挑戦的な言葉を言ったのだ。このハーメリンスではなく、規律が厳しい軍の所ならばアクールは直ぐに階級が降格するだろう。