星のキミ、花のぼく
「口ではそう言うけど、アンタ全然信用ないんだよね。」
「いや、私は本当に悪用とかそういうことは……」
「誰かに情報漏らしはしなくても、アンタが俺のストーカーになる可能性だってあるじゃん。そんなの無理、俺、そういうの怖いし。」
「だから、私は別に……」
「俺に興味ないって言い切れるわけ? 俺の顔見て、見惚れてたくせに。」
「ッ……!」
ほら、図星。アンタが俺の顔を見て、見惚れたことくらい気づいている。
「でも、私はあなたのことをストーカーしたりなんかしません!今後一切関わりたくないです!」
「関わりたくないって、それ、こっちのセリフだから。」
誰がアンタみたいな一般人と関わるかっていうの、迷惑だし鬱陶しいだけだし。
面倒だ、さっさと亘に電話して、コイツを事務所に連れて行ってもらおう。
然るべき措置は、事務所がやってくれるだろうし、そのほうが俺は安心できる。
俺がポケットからスマホを取り出して操作し始めると、コイツの表情がさっと青ざめていくのがわかった。
「あの……」
震えた声で怯えている。
俺が通報でもしようとしているとでも思っているのだろうか。
「警察じゃないから、安心しなよ。事務所に連絡するの。マネージャーだよ。」
「………!!!」
発信ボタンを押して、俺がスマホを耳に当てれば、コイツは焦って立ち上がる。
「あ、あの!事務所には……事務所には、連絡しないでください…!」
なにそれ、めちゃくちゃ怪しいこと言い始めたんですけど。
コイツは危険なヤツではないかなって少し思ってたりしたんだけど、やっぱり無理、怖い、ストーカー化するかもしれない。
……なんで電話すぐに出ないんだよ、亘。
「あ、あの…なんというか……私にだって立場があるというか………大事にされたら困るんです!」
涙目になって懇願するコイツ……でも俺が、そんなこと聞けるわけがないでしょ。
これ以上勝手なことをして亘を怒らせたら、俺の立場だって危うくなる。