星のキミ、花のぼく
「脅しにでも使う気?」
「そう、脅し……いや、言葉が悪いな。契約をしよう。お互いのためになるような契約だ。」
もっぱら、俺の利益になるように、だけど。
「昨夜のことも、この婚姻届も、完全になかったことにはできない。関わりたくないって言っても、もう関わってしまった。だったら、いっそのこと、お互いのために、良好な関係を築かないか?」
怒りの表情はなくなっけど、少し訝しげな顔をして、考えているようだ。
「でも、そうすることで私に得はないし、これ以上あなたに関わる必要もないと思う。」
「じゃあ、お互い利益がうまれるように、条件とルールを設けよう。お前のことを本当に信用できるって思えたらすぐにやめるし、それまでの契約だ。俺にできる範囲ならひとつだけ、お前の得になることを条件に組み込んでいい。金でもいいし、お前が望むなら一晩一緒に寝てやってもいい。悪い話ではないと思うけど?」
俺と寝たいって言ってきた暁には、すぐに亘に突き出すけどな。それもわかりやすくて手間が省ける。
「私が何もしないって信じてもらえたら、今後一切関わらないって、約束もしてくれる?」
「ああ、もちろん。もともと関わりのない俺たちだ。俺がお前を信じられたら、それで終わり、その後関わるようなことはしない。」
「ずるずると延ばされるのは嫌だから、期限を決めて、あなたが納得いってもいかなくても、その期限を過ぎたら、もう関わることはないって約束してくれるなら、その取引乗ってもいいわ。」
俺に嘘はないかと見定めるような視線を受けて、まっすぐに見つめ返す。
お互いの瞳に、どうやら嘘はなさそうだ。
「そうとなれば、ルールを整理しよう。まず期間だけど、そうだな……俺は3か月は欲しいな。お前が嘘をついてたとしても、そのくらいあればお前の弱味を握れるかもしれないしな。」
「わかったわ、3か月ね。」