星のキミ、花のぼく
耳に亘の怒号が焼きつきそうなくらいだ、もう考えることが煩わしい。

「だって、亘がめちゃくちゃ怒るんだもん……ヤケ酒したくもなるじゃん。」

「だからって、また厄介事を作ってくるアホがどこにいる!本当、お前くらいだよ!」

俺はそんなに出来損ないじゃないと思うんだけどな。

そんなこと、口にすればまたお怒りの言葉を浴びるだけだろうと、ぐっと口をつぐむ。

昨日だって、こうして、俺の意見なんか関係なしに一方的に厳重注意を浴びせられたから、気持ちが腑に落ちなくて、ヤケ酒に走ってしまったんじゃないか。

ふつふつと、俺の心で反発心が芽生える。

柚乃とのスキャンダルの件に関しては、俺は被害者だって、胸を張って言える。

柚乃の事務所側が、彼女の知名度を上げるために、俺を利用したスキャンダルだ。

俺は被害者なんだ……だってアイツとどうにかなったことなんて、一度もないし。

所属アイドルの俺が関係を持ったことないって言っているんだ、事務所は俺のことをかばってくれたっていいじゃないか。

それが…お前の日頃の行いが、このような事態を招いたんだと、叱られる一方。

だから柚乃とは本当に何もないんだって、あの写真はクラブでたまたま会ったときに、お酒が入って気分が上がって一緒に撮っただけだって。

……柚乃ってモデルなだけあって美人だし、俺は酔っていたんだ、顔くっつけて写真撮っても仕方ないだろう。

言い訳をしたら、ほら、その日頃の行いの悪さだと怒鳴られた。

……チュウはしてないんだからいいじゃないか。ほっぺにされてはいるけれど。

< 3 / 22 >

この作品をシェア

pagetop