氷点下できみを焦がしたい
「次は最後のお楽しみ、打ち上げ花火でーす!」
後夜祭のバンドとか出し物とか、色んなことが終わって。
いつのまにか永遠くんも壇上から降りていて。
最後の花火の時間になった。
「笹木さん」
不意に名前を呼ばれて、振り返ると王子様スマイルの永遠くんがいた。
「え、」
私と一緒にいた友達たちも突然の永遠くんに驚いている。
「ごめんね、笹木さんちょっとだけ借りて良いかな?」
にこにこと王子様の顔で話す永遠くんに、友達がこくこくと頷く。
『ちょっと羽瑠、どういうこと!?』
って心の声が痛いほど伝わってくる。
でも私だってどういうことかわからないよ!
永遠くんに連れられて、みんなの集まってるところから少し離れて。
校庭の端っこのベンチに並んで座った。
あの集まりの中から出て初めて気付いたけれど、何組かのカップルは少し離れたところでふたりきりで花火を見ようとしていた。