氷点下できみを焦がしたい
「なんで?なんで笹木さんなの?」
「それは……」
その質問に、言葉に詰まる。
それは、私が永遠くんの本性を知っているからで。
どうして知ってるのかって言ったら、あの日、永遠くんが告白を断った現場を見てしまったからで。
……あれ?そうだとしたらあの日、あの現場を見たのが私じゃない別の誰かだったら。
そうしたらその子が、私の立場になっていたのかな。
そんな当たり前のことに気付いてしまった瞬間、なんだか虚しくて、可笑しくなった。
「……はは、」
そうか。私はもともと、特別なんかじゃない。
たまたま、永遠くんの本性を知って。
たまたま、生徒会に誘ってもらって。
なんだか近づけたような、永遠くんの特別になれたような、そんな気がしていたけれど。別に私じゃなくたって、よかったのかもしれない。
だって永遠くんにとっての“特別”は──……。