氷点下できみを焦がしたい
・
♡
・
放課後。
生徒会室にはパソコンのキーボードを叩く音と紙をめくる音が響く。
珍しく誰も喋らないくらい集中して作業を進めている。
こんな量の仕事をテスト期間にさせるなんて、この学校の教師は何を考えてるんだ、なんて心の中で悪態をついてしまうくらい忙しい。
「ごめん、今日は莉緒に呼ばれてるから先に帰るわ。明日その分残るよ」
1時間弱が経ったとき、真緒くんがコピーを終えた書類の束をそろえながら立ち上がった。
「ああ、お疲れ」
「ごめん、永遠も忙しいのに。
羽瑠ちゃんもごめんね」
「ううん、全然大丈夫だよ!」
真緒くんは申し訳なさそうに生徒会室を出ていく。
その背中を見ながら、体を伸ばした。
永遠くんとふたりきりになった緊張感で、ふう、と息を吐く。
頼まれていたものを入力し終わったデータを保存して、キリのいいところで永遠くんに声をかける。
「永遠くん、これ終わったよ」