氷点下できみを焦がしたい
「はぁ……面倒くせぇな。
3点なんて馬鹿じゃないの。俺の仕事増やすんじゃねえよクズ」
「ひぃっ……」
職員室の扉が閉まって、誰もいない廊下に出た瞬間。
スッとさっきまでの笑顔が消えて、本音が溢れ出す永遠くん。
小さな声で呟かれた言葉。
高い身長のせいで上のほうにある綺麗な顔から見下ろされる。
私の想像通りのことを思っていたらしい。
やっぱり私の悪夢なんかじゃなくてこれは現実で。
「い、いいよ!私1人で勉強するから……」
「はぁ?それでお前がまた3点なんて取ったら俺の評判が下がるだろ」
「は、腹黒……」
「俺が教えるからには100点取らせるからな」
私はいったいこの人のどこを王子様だと思っていたのでしょうか……?
呆然としながら永遠くんの隣を歩いていると。
「あっ、永遠くん!ばいばい!」
「きゃー!王子だ!」
と、通りかかった女の子2人が嬉しそうに永遠くんに手を振る。
「さよなら。気を付けて帰ってね」
にっこりと笑い返す永遠くん。
またきゃー!と黄色い声を上げて帰っていく女の子たち。
……騙されてますよー。
この人は気を付けて帰ってね、なんて微塵も思ってませんよー。