氷点下できみを焦がしたい
「羽瑠ちゃん、好きだったよ」
「っ、ありがとう……」
「じゃあ、俺行くね。羽瑠ちゃんも気を付けて帰るんだよ」
「うん、ありがとう、本当に」
立ち上がった真緒くんを見上げる。
真緒くんってこんなに、優しく笑うんだ。
「そうだ、生徒会ではこれからも仲良くしてね。気まずいとか思われたらそっちの方が傷つくからね?」
「これからも友達でいてくれるの……?」
「当たり前じゃん」
「そっ、か」
安心して、ふっと笑みが溢れる。
だって恋愛感情ではなかったけど、真緒くんは私の大好きな友達で。
そしてあの生徒会室は、私の大切な居場所の一つになっていたから。
真緒くんと別れて、1人になった瞬間、涙がこぼれてきた。
どうして泣いているのか、よくわからない。
だけど温かくて、優しい涙だと思う。
どうして、みんなただ恋をしてるだけなのに、傷付いて、傷付けてしまうんだろう。
それでも私を選んでくれた真緒くんの言葉は、ずっと私の宝物になると思った。