氷点下できみを焦がしたい
「莉緒ちゃん!」
真緒くんに教えてもらった、莉緒ちゃんの通う女子校の校門。
次々と出てくるセーラー服の可愛い女の子たちの中から、一際可愛くて目立っている莉緒ちゃんを見つけた。
「……羽瑠ちゃん」
「お話ししたいことがあります」
わかった、と莉緒ちゃんは近くのベンチに案内してくれた。
2人並んで座って、今度は私が買っておいたココアの缶を渡す。前は莉緒ちゃんがミルクティーを買ってくれた。
「真似しないでよ」
くす、と笑って莉緒ちゃんが缶を受け取ってくれた。
ココアの缶を握って、深呼吸する。
緊張するけど、きっと傷付けてしまうんだろうけれど、それでも言わなきゃだめだ。
傷付けないように逃げることが、優しさじゃないってわかったから。