氷点下できみを焦がしたい
「まあ、最初はいたんだけどね」
へらりと笑う真緒くんに、首を傾げる。
……最初は?
「クビにした」
さらりと怖いことを言う永遠くんにも、もう驚かなくなってきた。
「クビに……」
「俺と永遠目当てに入ってきた女の子ばっかりで全然仕事にならなくてねー。
永遠が適当な理由つけて言いくるめて辞めさせたんだよね」
適当な理由つけて言いくるめて……なんかそういうの得意そう……。
「お前、なんか失礼なこと考えてるだろ」
「そ、そんなことないよ……」
図星だったので、全力で永遠くんから顔を背ける。
「……そうだお前、雑用係やらない?」
「へ?」
「俺の本性知らないやつだと面倒だし。
お前、作業は早いし」
「雑用係……」
それってずっと永遠くんと真緒くんと一緒に生徒会にいるってことだよね。
……そんなの、嬉しいけど、でも、永遠くんの優しさにこれ以上触れたくないなぁ。
好きに、なりたくないなぁ。
迷っている私から、氷点下の永遠くんが選択肢を奪う。
「数学の補習免れたのは誰のおかげだよ?」
「やり、ます……」
「はい決定」
流れるように、強制的に生徒会の雑用係になってしまった。
そして王子様じゃない、氷点下のブラック永遠くんのことを、だんだん受け入れてしまっている私がいた。