氷点下できみを焦がしたい
「……努力はするよ」
それが正直な答えだった。
私だって、積極的に叶わない恋に落ちたいわけじゃない。
つらい思いをしなくて済むなら、そのほうが絶対にいい。
だけど、理想とは正反対の本当の永遠くんに、心が動いているのは事実だった。
「だって恋なんて、落ちたくて落ちるわけじゃないもん。だから、努力はする」
そう答えたら、真緒くんはハハッと声を出して笑った。
「はは、面白いね。羽瑠ちゃん」
そんな話をしているうちに駅に着いて、私たちは反対方向のホームに向かった。
私の背中を見送る真緒くんが、
「……それってもう、落ちてるってことじゃんね」
なんて呟いていたのは、私には聞こえなかった。