氷点下できみを焦がしたい








「こ、ここが家!?」


永遠くんに連れられて来たのは、あまりにも大きな家だった。

高台に位置する家の周りには塀が張り巡らされている。
永遠くんが暗証番号を入力すると、大きな門が自動で開いた。

ドラマでしか見たことのない光景に、ぽかんと口を開けて固まる。


こ、こんなすごいところに住んでるの……?
もしかして本当に王子……?

なんて思っていると、永遠くんは不思議そうな顔で立ち止まる私を見る。



「入らねえの?」

「あ、ご、ごめん!すごい家でびっくりしちゃって……」

「普通だろ」



いや、普通ではないよ。

さっさと玄関の鍵を開けて中に入ってしまう永遠くんを慌てて追いかけて中に入る。
なんだか綺麗すぎて、生活感のない部屋だった。



「そこが風呂。乾燥機も使っていい。あとこれタオルと着替えな」


てきぱきとお風呂場に案内されて、部屋着とタオルを渡される。

……も、もしかしなくてもこれは永遠くんのスウェット!?

上下黒のスウェットは有名なスポーツブランドのもので、王子は部屋着までちゃんとしてるんだ……と、自分のセールで買った部屋着を思い出して恥ずかしくなった。

いうか、王子もスウェットとか着るんだ。
まあ、王子というかブラック王子だったけど。


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