氷点下できみを焦がしたい
「……そうだ、ありがとうな」
「え?」
私が何も喋らないでいたら、永遠くんが不意に口を開いた。
「生徒会、手伝ってくれて」
「ああ……いや、全然いいよ。
私、部活も入ってなくて暇だったし」
急にお礼を言われるなんて思っていなくて、びっくりしてしまった。
「前にいた奴らは全然仕事しなくて、でも正直、真緒と2人だけだとさすがにキツかったっていうか。お前、仕事は早くて助かるよ」
仕事は、って言葉が気になるけど、褒めてくれた。
だめだって、急に優しくしたら。
そういうの、困るってば。
温かい、ホットミルクみたいな優しい言葉が今度は私の胸を包む。
誰かのひと言がこんなに心を動かすなんて、そんな理由ひとつしかなくて。
「……私も、ありがとう。永遠くんの本性を知った時はびっくりしたしがっかりしたけど、今は本当の永遠くんの方がずっと好きだよ」
「っ……」
永遠くんがふい、と目を逸らして、その頬が少しだけ赤くて。
それでやっと、自分がなんだか恥ずかしいことを言ってしまったことに気付いた。