氷点下できみを焦がしたい
「ご、ごめ……そういうつもりじゃなくて、」
「……お前といると調子狂う」
少し頬を赤くして、私から目を逸らして。
そんな可愛いこと言うから、思わず胸がぎゅんと跳ねる。
……なにそれ、ずるい。
私だって永遠くんといると調子狂うよ、ばか。
『──もし好きなら、やめてくれない?』
真緒くんの言葉が頭をよぎる。
ごめん、ダメかもしれない。
努力、できなかったよ、真緒くん。
〜♪〜♪
と、テーブルの上に置いてあったスマホが着信を知らせた。
自分のかと思って目を向けたけれど、そこにあったのは黒くてシンプルなスマホ。
前のソファーに座っている永遠くんが、驚くこともなくそのスマホをとって、耳に当てる。
「なに?」
立ち上がって、リビングから出て通話している永遠くん。
その背中をなんとなく目で追う。