氷点下できみを焦がしたい



……嫌だなぁ、見たくなかったのに見えちゃった。


【着信:莉緒】


一瞬見えたその文字が、脳裏に焼き付いている。


莉緒って誰なんだろう。
……やっぱり大切な人、かな。


なんだか悲しくて、くるしくて、勝手に涙が出そうになって。


永遠くん、いつも通りの声だった。
王子様な永遠くんじゃなくて、本当の永遠くんだった。


……そっか、そうだよね。本当の永遠くんを知ってる女の子、私だけじゃないよね。



「あ、乾燥機鳴った」


しょんぼりしていると洗面所の方から、洗濯機が乾燥を終えた音がして、私はのろのろと制服を取りに行く。


お風呂場で制服に着替えて、一瞬だけ、永遠くんに包み込まれたみたいな幸せな気持ちにしてくれたスウェットを脱ぐ。



……嫌だなぁ、真緒くんの言ってたこと、わかっちゃった。



『──そんなわけだから、本気になったら羽瑠ちゃんも辛いでしょ。叶わない恋なんて』


忠告されたばっかりなのに、まんまと好きになっちゃって。私ってバカかなぁ。



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