氷点下できみを焦がしたい
「今日から文化祭準備が本格的に始まるから、協力しろよ」
「……」
「おい、聞いてんのか笹木」
「っ!はい!」
永遠くんの鋭い声が耳元で響いて、思わずびくっと肩を揺らす。
「ぼーっとしてんなよ」
「ご、ごめん……」
「……どうかしたか?」
「いや、何も!」
「いつもならもっとうるせえだろ。なに、具合悪い?」
今日は真緒くんが日直で遅くなるので、私は永遠くんとふたりきりで生徒会室にいる。
……おかしい。こんなの、おかしい。
なんでこんなに、永遠くんがキラキラして見えるの。
窓から差し込む太陽の光が、永遠くんの白い肌に影をつくる。光に透けたミルクティー色の髪が、実際よりも薄い色に光る。
長いまつげが頬に落とす影も、腕まくりしてプリントを持っている腕も、可愛い襟足も。
あまりにも綺麗で、眩しくて、消えちゃうんじゃないかってくらい儚くて。
なんだか、泣きそうになってしまった。