氷点下できみを焦がしたい
「熱でもあんの?」
ぐい、と距離を縮める綺麗な顔。
こつん、と当たった額と額。
目の前に綺麗な永遠くんの顔があって、顔に熱が一気に集中する。
「ち、近っ……」
思わず顔を背けてしまったら、永遠くんがにやりと口角を上げて笑う。
「そっか、お前俺の顔好きなんだっけ」
「な……」
「だって外面の俺のこと好きだっただろ」
「そう、だけど」
ムカつくほどの自信。
それが許される顔をしているのが腹立つ。
それに、私が好きだったのは王子様の永遠くんであって、氷点下のきみじゃない。
「違うよ、そんなことない」
「ふーん、まあそういうことにしといてやるよ」
……違う、前の永遠くんが好きだったんじゃない。
今の永遠くんのほうが、ずっと……。
「そんなことはどうでもいいから、出し物の教室分担とか企画書とか色々面倒なことが多いから頼むぞ」
「あ、うん、わかった」
もうすぐ文化祭かぁ。
「……ねえ、永遠くん」
「あ?」
永遠くんが、企画書についての説明用のプリントから目を離さないまま返事をする。