氷点下できみを焦がしたい
『僕にきみはもったいないよ。
もっと素敵な人と幸せになって』
なんて素敵な人なんだろう。
……あんな王子様みたいな断り方、あるんだなぁ。
断り方までも優しくて、素敵で、王子様みたいで。
さすが永遠くんだなぁ。
こんな断り方をされたら、きっともっと好きになってしま……
「……はぁ、うぜー」
……ん?
資料室の中から、なにか聞こえたような。
「うぜー」って、言ったよね。
え、資料室の中にいるのって、永遠くんじゃ……?
自分の耳を疑いながらも、ゆっくり柱の陰から出る。
「どいつもこいつも簡単に好きになるなよ、面倒くせえ……」
いつもの王子様からは考えられない言葉に、だんだん怖くなってきた。
まさか、だって、そんなことあるわけ……。
恐る恐る、資料室のドアに手をかける。
違う、そんなわけない。
きっとこの中にいるのは永遠くんじゃなくて、なんかこう、もっとオラオラした男の子で。
王子様があんなこと言うわけなくて、それで……。