氷点下できみを焦がしたい
──ガラッ
「……永遠くんだ」
思い切ってドアを開けたその先。
そこにいたのはオラオラした男の子……じゃなくて。
ミルクティー色の髪に制服をきちんと着た、王子様みたいな男の子だった。
う、嘘でしょ?
「っ……どうしたの?
あ、掃除当番か。ごめんね邪魔して」
突然開いたドアに、顔を覗かせた私に。
心底驚いた顔をした永遠くんは、戸惑ってはいるものの、一瞬でいつもの王子様スマイルに戻って私に笑いかける。
いやいや、今更にこにこしても遅いよ……。
いつもなら見惚れてしまうような人形みたいに綺麗な笑顔も、なんだか引きつって見える。
「永遠くん、って……二重人格なの……?」
「……」
永遠くんは少し沈黙して、私の方を見つめて。
それから心底面倒くさそうにため息をついた。
「はぁ……面倒なヤツにバレたな」
眉をひそめて、少し目を細めて私を睨む。
嘘だ、そんなわけない。
私が好きになった王子様が、こんな冷たい表情するわけない。
「……バレたらしょうがないか。こっちが本物。
騙される方が悪いだろ。
つーか俺に告白してくるなんて、身の程知らずもいいとこだよな」
開き直ったように豹変した彼は、なんだか酷いことを言っている。
……待って、意味がわからない。
どういうこと?この人は誰?
あの優しい王子様みたいな永遠くんは、どこに行ったの?