身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
学生の時のおままごとのような付き合い以降、会社に入ってから仕事が忙しくなってから、めっきり男の人と無縁な私は緊張がピークだった。

「いえ全然!」
しまった!
声が裏返り、後ろが振り向けない私をみて、大村さんはクスリと笑顔を見せた。

「驚かせてごめん」
黒のトレンチコートが驚くほど似合っているその人は、お見合いの時のスーツ姿より幾分、緩やかな髪をしていて、品のいいブランドのマフラーをしていた。
周りにいた女の子たちが一斉に大村さんを見るのがわかった。

私と言えば、なんとか大人っぽく見せるために、努力をした結果普段はめったに着ることのない、ブラックのワンピースに、黒のブーツ、ベージュの大人っぽいお姉ちゃんのコートを着ていた。

ただでさえ、いつもとは違う自分に落ち着かない。

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