身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
その言葉に、私はカッと顔が熱くなった。
「はい……」
大人しくなった私を見て、悠人さんは楽しそうに笑い声をあげた。

「治ったら覚悟しろよ」
その低い声に、私はまったく太刀打ちできない相手に、恋をしたことに改めて気づいてしまった。

熱のせいか、浮かれていたのか、その時は悠人さんにお姉ちゃんじゃないことが伝えられただけで、すべてが終わったような気がしていた。



それからというもの、悠人さんは私を甘やかすことに全力を掛けている気がする。
「悠人さん?」
食事を作っていても、何をしていても同じ時間を過ごしている限り、私のそばにいる。
困惑気味に問いかければ、いたずらっぽく私にキスをする。

「またごまかす……」
「いいだろ?」
そう言って笑いながら悠人さんは私を抱きしめる。

「礼華」
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