身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
あの日から数週間経つが、覚悟をしていたわりにはとくに何もなかった私は、ドキンとして動きを止めた。

それほど、悠人さんの瞳は色気を含み、甘い空気を出していた。

「そう……です」

素直に応えたら、これは自らOKしたようなものだったのだろう。
悠人さんはフワリと微笑むと、私と距離を詰める。
優しく触れるだけのキスをすると、瞳を覗き込んだ。
「俺のものになる覚悟……できたってことだよな?」
至近距離で綺麗な顔が紡ぐ言葉は威力がありすぎで、恋愛経験の少ない私はもういっぱいいっぱいだった。

「は……い」

そんな私を見て、悠人さんは急にクスリと笑った。

「昔も、一生懸命平気なふりをする礼華がかわいくて仕方なかったな」
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