身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
悠人さんは大きく息を吐くと、私に優しく微笑んでくれて、私はそれだけで心が温かくなる気がした。

「礼華、大丈夫。大事に抱くから。俺に任せて?」
「はい」
自然に零れ落ちた私の言葉を、悠人さんは甘く奪う。

その日、初めて本当の意味で甘やかされる、その意味を知った夜だった。

幸せな気持ちで目を開ける。隣をみれば気持ちよさそうに眠る悠人さんがいた。
夢ではないことが分かり、私はじっと悠人さんを見つめる。
こんな幸せがあることなど、今まで知ることがなかった。

いつも通り朝食を作ろうと、悠人さんを起こさないように、そっとベッドから降りようとして、自分が何も着ていないことに気づく。

慌ててベッドの下に落ちている下着を拾おうと、シーツを引っ張ったところで、逆に手を引っ張られる。

「礼華、なにしてるんだ?」
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