身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
それに……どうしてあの日お見合いをしたかを聞いていない。
悠人さんぐらいの人なら、お見合いなどしなくても相手はいくらでもいるだろう。

【人は幸せになると、途端に不安になる】そんな言葉を聞いたことがあるが、まさにそれなのだろうか?

一度考えてしまった私の思考は、どんどんと不安に流されていく。
そんな時、更科さんが私の横を通り抜けると、ふわりと甘い香りが漂った。
私とは違う、甘さの中にも官能的な、大人の女性しか似合わない香水。

あの人なら、悠人さんの隣が似合うのかもしれない。

いてもたってもいられなくなり、明日香にラインをした。

一緒にランチできるとの返事に、お昼になると、外出用のカバンを手にして1Fへと向かう。

「礼華。珍しいわね」
「うん、ちょっと」
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