身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
無意識に零れ落ちる返事が、明日香にどうきこえていたかもわからないが、私はそれほど今の話が衝撃すぎた。

仕事を終え、今日も遅くなるという悠人さんの連絡にホッと胸をなで下ろす。
夜はまだ冷えるこの時期、真っ暗な部屋の電気をつけて暖房を入れる。
食事をとる気分でもなく、私はぼんやりとソファに座り込んだ。
明日香から聞いた衝撃的な話。
初めからお姉ちゃんじゃないと知ってもなお、結婚を急いだ理由。

ふと思い出すと、会った初日から「可愛い」「俺といて」そんな言葉を言われてきたが、「好き」とか「愛してる」という悠人さんの気持ちを聞いたことはなかった。


“会長の命令でお見合いして、結婚しないと本社の社長にはなれない”
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