身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
休日をダメにしたことに対しての謝罪なのだろうが、なぜか違う響きも含んでいるようで私は何も言えなくなった。
そっと私を放すと、悠人さんは振り返ることなく行ってしまった。


火、止めなきゃ。
お鍋のかかっていた火をぼんやりと見ていたことに気づき、私は手を伸ばす。
しかしすでに鍋に入っていたパスタは、とうにアルデンテではないだろう状態に私はため息を付いた。

うどんのようになってしまったパスタを、適当にソースをかけて簡単な昼食にした。
ソースの味がぼやけて、美味しくない。
それでも、私はただ口に入れていた。

そして、ひっそりと静まり返った部屋に急に寂しくなる。
いつも一人でいても、悠人さんを感じることが出来ていたはずなのに、今はこんなにも不安で仕方がない。

こんなにも簡単に人の心は揺れ動き、脆いことを初めて知る。
恋をするということが、楽しいことばかりじゃないことを思い知る。
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