身代わり婚～偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています～

はっきりと、この間の疑問をぶつけて、悠人さんが否定してくれれば安心できる。
そう思っていても、もしも、もしも……。
【社長になるために、仕方なかったんだよ】
そんなことを言われたら、立ち直ることなどできる気がしなった。
卑怯で、臆病な自分を初めて知った。

そんな時、スマホが音を立てて私はディスプレイに視線を向けた。
見たことのない番号に、礼華は躊躇しつつも通話ボタンをおした。

「もしもし？」
『持田礼華さん？』
聞き覚えのない女の人の声に、私の心臓はドクンと音を立てる。
こういう時の女の感は当たるのかもしれない。
「はい」
『更科です』　

ああ、やっぱり。
なぜか私はすっきりとしたような気持ちになった。
この結婚は普通ではないことなど、初めからわかっていた。
私は平凡な会社員で、相手は大企業の御曹司。

電話を切ると、私は大きく息を吐いた。