身代わり婚～偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています～

「それに、あなたが駄々をこねれば、困るのは悠人よ？」
「どういう意味ですか？」
駄々をこねる、その言葉が心に突き刺さる。もう私だけが部外者のようだ。
「あのね、まだあなたのお姉さんなら、悠人の結婚相手としてギリギリ認められたかもしれないわ。でもあなたのことはおじい様はこれっぽっちも認めてないの。あなたがすがりついたりすれば、悠人が社長になることはないの。この意味わかるわよね？」

その後、私はどうやって店をでたのかもわからなかったが、気づけばいつの間にか降り出した雨の中にいた。
いつかもこんなに濡れた私を、悠人さんは優しくバスタオルで包んでくれたことを思い出す。

結局、やはりあの日の出会いがそもそも間違いだったんだ。

あふれ出る涙は、降りしきる雨に溶けていく。