身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
ピッピッ
耳慣れない音がして、私はゆっくりと目を開けた。
見たこのない白い天井に、消毒のにおい。あの後倒れたことにようやくその時気づいた。

「礼華。気づいた?」
その声にゆっくりと視線を動かすと、腕に刺された点滴の針に、機械につながれた自分の指が見えた。

「お母さん……」
呟くように言った私に、ホッとしたような表情を見せた。
「私、どうして?」
思い出すように言った私の言葉に、お母さんは小さくため息を付いた。
「本当にびっくりしたわよ。いきなり病院から連絡があって救急車で運ばれましたって」

「救急車?」
そんな大事になってしまっていたことに、私は少し大きな声を上げた。
「そうよ、街中でずぶ濡れで倒れるから。どうして傘もさしてなかったの?」
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