身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
まさかショックで街をさまよっていたなど言えるわけもない。

「ああ、お茶してたんだけど傘を持って行かなくて」
勤めて明るくいった私だったが、お母さんは表情を曇らせた。
「悠人さんとは連絡はつかなかったみたいだし」
連絡がつかなかった。私のスマホの着信履歴はもちろん悠人さんがほとんどだ。
連絡がいくなら、一番に悠人さんだったはずだろう。
その言葉が、あの更科さんの言葉と結びつく。電話が出られない状況だったのだろう。

私の表情が曇ったことを、お母さんは気づいたのかもしれない。
「まあいいわ。今はとりあえず熱も高いし……今日は入院になったから休みなさい。また明日来るから」
お母さんはそう言うと、看護婦さんに挨拶をすると帰っていった。
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