身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
【すこし出かけてました。了解です。気をつけて行ってきてください】
それだけを打つと、私はスマホ電源を落とした。
もう、話したくない、会いたくない。これ以上傷つきたくない。

そして……その気持ちの裏側でまだ悠人さんを思う気持ちもあった。
「社長になって頑張ってください」
私はもはや邪魔者意外なんでもないのだ。

そのことを自分に言い聞かせた。
そこにお母さんが来たことが分かり、私は慌ててスマホを枕の下に隠した。
お母さんは真剣な表情を浮かべながら、私のベッドの横の椅子へと座る。

「あのね、礼華。あなた悠人さんとはどうなの?」
「どういうこと?」
「結婚の話は進んでるのかなって?」
少し遠慮気味に聞くお母さんに、私は少し笑顔を向けた。

「ごめん。なしになった」
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