身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
第八章 再び咲く花 二度と離れない
「礼華、起きられる?」
お母さんの声にも、私は答えることが出来ずトイレへと駆け込んだ。
退院してから1カ月、私はお母さんの実家である海沿いの街にいた。
つわりも酷く、会社には入院からの体調不良というこにして休職をしている。
退職するにもきちんと引き継ぎの為、一度会社に行かなければいけない。
それに、お父さんからも何度も悠人さんが、家に来ていることを聞いている。
このままでいい訳がないのはわかっていた。
食べることもままならないので、吐くものもないがとりあえずこみ上げる吐き気に耐えていると、ポロポロと涙が零れ落ちる。
あー、情緒不安定だ。
妊娠するとホルモンバランスが悪くなると聞いていたが、本当にその通りだ。
お腹のベビちゃんと生きていく、そう決めたのに悠人さんがいないことが寂しくて、恋しくて、会いたくて。
ひとしきり泣いた後、なんとか涙を止める。