身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
ぼんやりと縁側から海を眺めていると、珍しい人に私は力なく笑顔を向けた。
「礼華元気にしてる……って顔じゃないわね」
相変わらず綺麗で完璧なお姉ちゃんの言葉に、私は曖昧に頷いた。
「少しだけ散歩できる?」
いつも奔放なお姉ちゃんの気遣いに、私はゆっくりと立ち上がった。
海沿いの道をゆっくりとしたペースで歩くと、少しだけ心が落ち着くような気がした。
「なんか……ごめん」
少し先を歩くお姉ちゃんの言葉に、私は海からそちらへと視線を移した。
「なんでお姉ちゃんが謝るのよ」
苦笑しながら問いかけると、お姉ちゃんはくるりとこちらを向いた。
「だって、私がお見合いに行っていればこんなことにはならなかったわけだし」
最後は少し言葉を濁すように言ったお姉ちゃんに、私は小さく首を振った。