身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
まっすぐに向けられた視線に、私の心臓が煩い。
これでもかというぐらい、バクバクと音を立てる。

さっきまで会いたくて、会いたくて仕方なかったその人なのに、私はくるりと踵を返していた。

怖い!

その感情しかなかった。

「礼華!!」
いつも呼ぶ甘い声ではなく、切羽詰まったような呼ぶ声に胸が締め付けられる。

でも、心の準備もできていなければ、何を話していいのかもわからない。

私は逃げるように足を踏み出したところで、激しい車のクラクションの音が鳴り響く。

なに?!

その音に反射的に振り返ると、地面に倒れ込む悠人さんと走り去る車が見えた。
「悠人さん!!」
無意識に叫んで、悠人さんの所へ駆け寄る。
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