身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「大丈夫ですか!? 悠人さん!悠人さん」
え……?
うつぶせで倒れ込んでいて悠人さんの顔は見えなかったが、いきなりギュッとすごい力で腕を握りしめられて私は驚いて動きを止めた。
「やっと捕まえた……」
静かに聞こえたその言葉と同時に、悠人さんは立ち上がるとおもむろに私を抱き上げた。
「ちょ、ちょっと悠人さん? 大丈夫なんですか? けがは?」
足が地面から離れ、私は落ち着かない気持ちでバタバタと足をさせながら、悠人さんに声を掛ける。
道路を渡りきると、そっと悠人さんは私を下ろすと、そのまま自分の腕の中に私を閉じ込める。
「礼華……やっと捕まえた……」
絞り出すように言われた言葉が少し震えているように聞こえる。
「悠人……さん?」
どうしていいかわからない私だったが、久しぶりの悠人さんの腕の中が嬉しくて涙が零れ落ちる。
しばらくただ無言で抱きしめられていると、そっと悠人さんが私から距離をとった。
久し振りにみた悠人さんは、幾分痩せたていて疲労の色が読み取れた。