身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
疑問形の私の言葉に、今度は悠人さんが驚いたように私を見た。
「そんなんことわかっていただろ?」
「わかるわけがない! 悠人さんは社長になりたいんでしょ? 結婚しないと社長に慣れないんでしょ? でもお姉ちゃんじゃない私とじゃ、結婚しても社長になれないんでしょ?」
更科さんに言われた言葉を思い出して、一気に叫ぶと酸欠のせいか頭がくらくらとする。
吐き気も襲ってきて、私はその場にしゃがみ込んだ。
「礼華!?」
そんな私に寄り添うように、悠人さんも道路にしゃがみこむ。
「そうか……」
悠人さんはなぜか納得したように言葉を発すると、大きなため息を付く。
「礼華、本当にごめん」
ようやく本当のことを言ってもらえるのかと、私は覚悟を決めてギュッと唇を噛んだ。
「俺の言葉が足りないせいでこんなことになったんだな。ようやく礼華が手に入って浮かれていたから……」
「浮かれていた?」
その意外な言葉を私は繰り返した。
「ずっとずっと好きだった礼華が、ようやくそばにいることで安心しきってた」
初めて聞く言葉に、私の吐き気もピタリと止まった。