身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「ずっと好きだった?」
自転車が私たちを迷惑そうに避けて行くのも気にせず、私たちはその場で視線を合わせていた。
コツンと悠人さんが私の額に自分の額をくっつける。
「覚えていないかもしれないけど、昔、ビルに挟まれた猫を助けただろう?」
「猫……」
確かに猫を助けたことはある、そのことがなに?
「あの時、一緒に助けたのは俺、礼華に気づいてほしくてマフラーを渡したのも俺。その時からおれはずっと礼華を見ていた」
「え!」
その初めての告白に、私は驚いて目を見開いた。
「一緒に住むうちに、もっともっと礼華が好きになって、一瞬も離したくなくなって」
初めて聞くその告白に、私の頭はパニック寸前だった。
「でも社長になる夢は?」
私の言葉に悠人さんは柔らかい、私の大好きな笑顔を向けた。