身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
第一章 帰り花が咲く日 お見合ってこういうものですか?
「本日はお日柄も良く……」
そんなセリフはテレビの中だけだと思っていた私は、張り付いた笑顔を向けていた。
しかし、その作り笑いにも限界がある。顔面の筋肉が限界に近づき、私はいかにもという和室の向こうに見える、綺麗な日本庭園にチラリと目を向ける。
(あっ、あそこの石、蛙に似てる……)
「そうよね。彩音さん。彩音さん聞いてる?」
「はい?」
やばい変な声出た!
私は意識を戻すと、取り繕うように目の前の人を見た。
「何をみていたの?」
「冬に花が咲いているなと」
呆れたような叔母の声に、何とか言葉を発したが大きなため息が隣から聞こえた。