身代わり婚～偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています～

「確かに今日は寒いよな。雪降りそうだもんな」
設計を担当している先輩である、近藤稔さんは窓の外に目を向けた。
「じゃあ、今日もよろしくな。打ち合わせもあるしな」
「はい」
暗い気持ちをなんとか押し込めると、私は仕事に集中した。
「あっ、雪」
そう思ったのは、１７時をまわり外が真っ暗になっていたころだった。

「持田！お前まだいたのか？」
打ち合わせを終えてぞろぞろと戻ってきた人たちが、驚いたように私に声を掛ける。

「え？」
「メールきてただろ？交通情報。電車結構止まってるぞ。該当者は速やかに帰宅って。お前のうちも遠いだろ？」

「え？本当ですか？」
余計なことを考えたくなくて、目の前の仕事に集中しすぎていた。
慌ててスマホをだすと、私の使用する電車は案の定止まっていた。
噓でしょ……。