身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
夕方には雪もやみ、日中の気温上昇により雪もだいぶ解けていた。
その日の帰り、送って行ってくれた帰り道、大村さんは宣言通り両親に挨拶をし、同居の許可を取っていった。
両親は驚いた顔をして、どうするべきか考えているようだったが、特に何もいうことなく許可をしてくれた。
大村さんを外まで見送ると、お母さんと目が合う。
「ねえ?いいの?」
その言葉に、私はイライラと言葉を発してしまう。
「こんなことになったとはお父さんたちのせいじゃない。私が好きではじめたんじゃない」
そんな私の様子を見て、お母さんは小さくため息をついた。
「ねえ、あなた大村さんのこと……」
「そんなことない!」
お母さんの言葉を肯定することなどできる訳なく、私は叫ぶように否定していた。
「そう?なら、きちんと本当のこと言わないと」
もっともな意見に、私はグッと唇をかむ。
このままでいいなんて思っていない。
弁護士で優秀な大学を出ているお姉ちゃんだから、大村さんと結婚する資格があるのだし、こんな私ではダメなこともわかっている。
でも……。
「わかってる。きちんと折をみて話すから」
呟くように言った私に、お母さんは小さく頷いた。