身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「……よう。おはよう」
寝不足からか、かなりぼんやりしていたのだろう、後ろから抱きすくめられる感触で私は我に返った。
「そんなに楽しい?このテレビ。ああ、バリ?」
悠人さんは私がテレビに集中していたと思ったのだろう、私の肩に頭を乗せながらテレビを見ていた。
「そうです。行きたいなって」
とっさに出た言葉に、悠人さんが頷いたのがわかった。
その時に触れた悠人さんの髪が、首筋を撫でて私はくすぐったくて身をよじる。
「いつか一緒に行けたらいいな」
そんな私の首筋にたまたまか、わざとかわからないが、悠人さんの唇がふれたような気がした。
「さあ、飯にしようか。顔洗ってくるな」
そう言うと、悠人さんは私から離れると、リビングから出て行った。
私は今触れた首筋に無意識に手を持っていたことに気づく。