身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「え?」
その言葉の意味が解らず、私は顔の前で持っていたカップを下ろすと悠人さんを見た。

「ゆっくりするんだろ?コーヒーもこっちに持ってこればいい」

優しく言われ、私はそれを断る術がみつからず、おずおずとカップをテーブルに置き、広いソファーの隅に腰かける。

そんな私を見て、悠人さんは小さくため息をつくと、私の手をひっぱった。

「わぁ!」
その行為に驚いて声をあげた私は、そのまま悠人さんの腕の中に倒れ込む。

「ここでいいだろ?」
ゆっくりしたいと言った私の言葉を実現するように、私は悠人さんに膝枕をされるような形で横になっていた。

何人も座れるソファーに密着しながら、二人で選んだ映画を見る。

初めはこの状況にドキドキしていたが、いつのまにか、ふわふわのクッションを抱きしめながら、私はウトウトしていた。
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