身代わり婚～偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています～

髪を撫でてくれる悠人さんの手の温もりと安心できる匂いを感じながら、ゆっくりと私は意識を手放した。
どこか遠くで聞いたことのある音楽が、流れていたような気がした。

温かいぬくもりに包まれて、久々にゆっくりと眠った気がして私は目を開けた。
その温もりが気のせいではないと気づいたのは、目の前にあった悠人さんのきれいな顔。
危うく声を上げそうになって、私は自分の手で口を覆った。
まだ寝息を立てながら、気持ちよさそうに眠る悠人さんの顔を盗み見る。

眠っていてもイケメンとか……。
ついつい無意識に頬に触れてしまい、ハッとして手を戻そうとすると、その手に悠人さんの手が重なる。

「なっ！起きてたんですか？」
慌てて起き上がろうとしたところを、今度はギュッと抱きすくめられる。

「もう少し眠ろう？」