身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
そう呟くと、私を抱きしめる腕に力が入る。

「そんなに強く抱きしめられたら眠れません」
もちろん、今の状況で眠れるほど男慣れもしてなければ、経験などない。

もうお姉ちゃんだったらどうとか、繕う余裕などまったくない。
そんなあたふたした私に、ようやくはっきりと目が覚めたのだろう、まだ眠そうな瞳をこすりながら悠人さんは私を解放する。

「おはよう。ゆっくりできた?」
柔らかい微笑みを浮かべ、本当に幸せな結婚生活と勘違いしそうなほど、甘い悠人さんの表情に私は顔が熱くなるのがわかった。

「あれ?顔熱いけど熱があるわけじゃない?」
心配そうに表情を歪めると、こつんと私の額に自分の額を付ける。

「悠人さん!大丈夫です!」
慌てて言った私に、悠人さんもホッと息をはくと、「大丈夫そうだな」と私をみた。
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