身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
もちろん向こうの大村さんも、終わりにしたかったのだろう、さわやかな完璧な笑顔でお辞儀をする。その姿も綺麗で私は見とれてしまった。

「帰り花」

「え?」

ふと部屋を出るときに、大村さんは庭をみたまま言葉を発した。

「さっきおっしゃっていた花のことです」
そう言うと柔らかな微笑みを浮かべて振り返った。

「季節外れに咲く花は美しいですね。あなたのように」

その犯罪的な甘い言葉に、私は何も言うことができずただただ呆然としていた。
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